素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説

小説 その話はやめておこう 2

ボクはソファに寝転びながら、ビールを飲んでる。 アルパチーノは、ゲイの恋人の手術費の為に銀行強盗をしている 哀しい話だ。 誰かを守る為に、誰かを傷つけていた。 ボクは気が楽だ。 守る人も、傷つけたい人もいない。 玄関のインターホンが鳴る。 時計を…

小説 その話はやめておこう 1

ボクの机の上に白い封筒が置いてある。 誰が置いたのだろう? どこにでもある白い封筒。 封筒に触れてみる。 宛先は書いてない。 名前も書いてない。 『 領収書 』とも『 納品書 』とも書いてない。 首をかしげてる姿を大袈裟にしてみる。 「 どうしたの? …

小説 火星ラバー 3

僕は最終手段を出す事にした。 このままじゃ、本当に地球人になってしまう。 地球人になるのは、7000回生まれ変わってもごめんだ。 「 君は< 世界のはじっこ >がどんな場所か分かる? 」 「 何もない所かしら? 」 「 そうなんだ、そこには何もない。山も海…

小説 火星ラバー 2

今度は、こっちが泣く番だった。 僕は火星では3人の女と結婚して、24人の子供がいる。 「 洗濯機を壊したのは、わざとだね? 」 「 あなたは火星に帰れなくなるから 」 「 それで、僕は地球人にする気だね? 」 僕は、頭が痛みだしてきた。 このままじゃ、本…

小説 火星ラバー 1

「 あなたに謝らないといけない事があるの 」 「 謝らなくていいよ、どうせ浮気でしょ? 」 僕は彼女の浮気グセには慣れていた。 イイ女には男が寄ってくるのだ。仕方ない。 「 その何倍もヒドイ事なの 」 と彼女は言った。 「 どんなことを聞いても怒らない…

小説 夜のニワトリ 17

「 ロボットのお前には、心がない。それでも、お前と関わる人間に、愛が生まれる。それは、ロボットと人間がこれから共存していく為に必要なものなんだ 」と博士ロボは言う。 隣を見たら、シルクorムッシュは泣いている。 「 51年前から、この計画を立ててい…

小説 夜のニワトリ 16

「 ロボットには、心がない。どれだけ、技術が進歩しようが心だけは、備えれない。人間の様に、涙を流す事も出来ない 」と博士ロボは言う。 「 だから、リトルラジオが必要だった訳ですね。そもそも、リトルラジオは、どんなものなんですか? 」と僕は言う。…

小説 夜のニワトリ 15

「 その情報を流したのは、俺だよ 」とシルクは言う。 訳が分からなかった。 これじゃ、まるで博士に試させられている気分だ。 そう思った時、僕はピンときた。 博士は、僕らを、確かに試している。 「 それに俺は、シルクじゃない。本名は、ムッシュだ 」と…

小説 夜のニワトリ 14

「 質問があるわ 」と博士の娘は言う。 「 何故、博士は、博士のロボットを作ったのか。それと、もう一つ、何故、博士のロボットが、アップルにいるのか。雰囲気的に、あなたが、アップルのボスに見えるわ 」 答えるばい、と博士ロボ言う。 「 夜のニワトリ…

小説 夜のニワトリ 13

「 ねぇ、さっき言ったのホント?」と博士の娘は小声で話す。 「 えっ? 」 「 あなたしか撃たれないのかしら? 」と博士の娘は言う。 「 分かりません。でも何かいい方法が必ずあります 」と自信はないけど、僕は言う。 いや、違うな、必ずあるはずだ。 階…

小説 夜のニワトリ 12

「 お嬢ちゃん、名前は? 」とシルクは言う。 「 言う必要はないわ 」と博士の娘は言う。 「 物語には名前が必要だ 」とシルクは言う。 やれやれ、僕の真似じゃないか。 「 名前が無ければ、お嬢ちゃんは大した役じゃないかも知れない 」 「 この光線銃で、…

小説 夜のニワトリ 11

博士は、2020年に、人間とロボットが共存していく道か、対立し合う道かが決まると言っていた。対立し合う道を選ぶのがアップルだと言うのか。 「 直接、僕が確かめます 」 「 危険過ぎるわ 」 「 大丈夫。最後に正義は勝つ様に出来ている 」と僕は言う。 「 …

小説 夜のニワトリ 10

「 そもそも、そのリトルラジオの意味が分からないんです。僕に埋め込められている事は知っているんですけど 」 「 あなたが知らないのに、私が知る訳ないじゃない?知らない物をどうやって守るって言うのよ 」 この意見にも同感だった。 博士の娘とは気が合…

小説 夜のニワトリ 9

「 ちょっと起きなさいよ!! 」 誰かが、僕は強く揺らしている。 せっかく、気持ちのいい夢を観ていたのに。 え?ロボットが夢を観るのかって? そんなの当たり前だよ。 火星人だって夢を観る。 仕方なく、僕は目を開ける。 目の前に白髪のアフロ頭がある。…

小説 夜のニワトリ 8

男は、それについて考えている。 名前がないと、チョイ役で終わる? そんなのってないぜ! シルクだ、と男は言う。 「 俺の名前は、シルクだ!分かったか! 」と怒鳴った。 シルクか。。。。。 もっとマシな名前は無かったんだろうか。 心から、そう想った。…

小説 夜のニワトリ 7

そんな訳で、僕はまんまと捕まっている。 「 攻撃装置は、外しといたよ 」 「 あなたの名前は? 」と僕は言う。 言う必要はないね、と男は言う。 フェアじゃないな。 「 あなたは、僕の名前を知っている。僕はあなたの名前を知らない。全くもってフェアじゃ…

小説 夜のニワトリ 6

< 2020年 > 2020年、9月18日アップルの新商品が発売した。 丁度、その頃『 シルク 』と名乗る男に僕は、捕まっていた。 病院の外のドアを飛びながら、窓拭きをしていた時だった。 窓ガラスの向こうで、僕に手振りでジェスチャーをしている男がいた。 何を伝…

小説 夜のニワトリ 5

博士は注射を取り出して、博士の娘に打った。 何を急に?と博士の娘は声を荒げて言った。 「 今から、お前を冷凍睡眠する 」と博士は言った。 博士の娘は、自分の父親が頭が可笑しくなってしまったと本気で思ってしまった。 「 お前を2020年まで、冷凍睡眠す…

小説 夜のニワトリ 4

僕は言葉が話せない。 二足歩行ではなくキャタピラ。 両手は上下しか動かせない。 身長は135㎝。 顔の表情だって、ワンパターン。 驚きも、笑いも、悲しみも表現できない。 おまけに、夜しか動けない。 2020年に存在するロボットとは、あまりにもかけ離れて…

小説 夜のニワトリ 3

< 1969年 > 1969年、ビートルズがアップルの屋上で、最後のライブをしていた。 丁度その頃、博士は38001回目の失敗作を造っていた。 「 まだ、諦めないのね 」と博士の娘は言った。 「 これは、単なる過程ばい 」と博士は言った。 博士の娘は、失敗作を眺め…

小説 夜のニワトリ 2

満員電車や上司のつまらないジョークからも解放された。 殆どの人が余った時間で、自分の好きな事をやり始めた。 個人で始める会社が爆発的に増えた。 勿論、ロボットをスタッフにした。 正確で人間よりずっとタフだった。 ここまで書いた文章を読み返してみ…

小説 夜のニワトリ 1

真夜中に架かる虹のように 昼間に輝く星のように 夏に降り注ぐ雪のように それは それは 新しかった 砂漠で観るシロクマのように 都会で観るオーロラのように 火星で観る生命のように それは それは 美しかったから - RADWIMPS - 謎謎 2020年、僕等の生活は…

小説 素敵な図書館 6

ボクの前に『 忘却カード 』が差し出される。 名前の欄に『 佐藤 圭祐 』と書かれている。 やあ、と館長は言った。 「 今回は、僕の記憶を引き取ってくれないかな 」 ボクはカードの裏を見て、館長の顔を見る。 『 図書館を造った記憶 』と書かれている。 「…

小説 素敵な図書館 5

「 だったら、母親が運転中にスマートフォンを観ていた事実を引き取ろうか? 」とボクは言った。 男の子は少し考えた後、出来れば全部消したい、無理ですか?と言った。 「 母親は常にスマートフォンを観ていました。一緒に食事をしている時もです。何だか自…

小説 素敵な図書館 4

「 ご両親は、そんな事、望まれているのでしょうか? 」と正直にボクは言った。 年配の男性はしばらく考えた後、判りません、と言った。 出口はあった。ただ、それが答えかボクにも判らなかった。 結局、その年配の男性に、記憶を貸し出す事になった。 一週…

小説 素敵な図書館 3

記憶を引き取った人は、大抵の人が喜んでくれた。 ボクの手をとり「 ありがとう! 」と涙する人もいた。 ボクは嬉しかった。 簡単に人々は、忘れたい記憶を消せるのだ。 館長はボクの肩をポンと叩き、ねっとウィンクした。 ある女性は旦那さんの暴力に悩んで…

小説 素敵な図書館 2

今度、新しい事を始めるよ、と館長は言った。 また、仕事が増えるなと想うと同時に、楽しみでもあった。 「 人の記憶を貸し出せる 」コーナーを作ると館長は言った。 どうやら、ボクが専門でここに入る事になるらしい。 「 人には忘れたい記憶がある。それを…

小説 素敵な図書館 1

ボクは図書館で働いている。 この図書館は、小さな小さな街にある。 電話帳にも、グーグルマップにも載っていない。 そんな図書館があるわけないじゃないか? と、あなたは怒るかも知れない。 そんな事、言われても困る。 ボクは、確かにこの図書館で働いて…