素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小説『 コロニー 』8

会社の近くの蕎麦屋に昼食をとりにいく。店内はサラリーマンやOLで混雑している。隣の席では珍しく中学生が座っている。前に座っているサラリーマンはどう見ても父親ではない。何か事情があるのかサラリーマンの方は険しい顔をしている。私は関わらない様に…

小説『 コロニー 』7

「 まぁ、当たり前の結果だな 」とハヤトは言う。「 誰も自分の過去なんて思い出したくないのかしら? 」とマユミは言う。う〜んと唸り「 今が幸せなのに思い出す必要なんてないと思ってるんだよ 」とコウタは言う。「 それは言えてる。俺たちは単純に忘れた…

小説『 コロニー 』6

『 安曇荘 』は高層ビルに挟まれる様に建っていた。二階建てのアパートは朽ち果ていて、外には洗濯機があり洗濯物が不幽霊の様に風でなびいていた。ポストは野晒しで設置しており、ペンキが剥げて錆びついていた。105号室の名前を確認したが書かれておら…

小説『 コロニー 』5

「 軽蔑したでしょ? 」と涙目でマユミは言う。コウタは首を横に振り「 ありがとう。正直に話をしてくれて。君だって思い出したくなかったことだろうし、それを僕に話してくれた勇気の方が凄い 」と言う。「 法律と神様を無視したのに? 」「 その時はそれで…