素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 あなたと夜と音楽と 14

セロニアス・モンクに出会ったその日の夜、私は奇妙な夢を観る。

私はバス停にいる。

誰かを待っている。幾つかのバスが私の前に止まり通り過ぎて行く。

私はしびれを切らし、そのバス停から離れようとする。

でも動けない。

足元を観ると幾つもの手が私の足を掴んでいる。

やがて幾つもの手が私の腰を掴み始める。

助けを呼ぼうとする。声が出ない。どれだけ叫んでも声が出ない。

その時、目の前でバスが留まる。

妻が降りて来る。

「 そうね 」と妻は笑いながら言う。

「 少なくとも、あなたよりは優秀な人達じゃないかしら? 」