素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 あなたと夜と音楽と 22

ジェリー・マリガンは言った。

「 小説を書き続けるんだよ 」と。

駄目なんだよ、私には書くべき事がもう何ひとつないんだ。何も書けないんだ。

その言葉を遮りジェリー・マリガンは続ける。

「 一日も休んではいけない。書き続けるんだよ 」と。

私はレコードプレイヤーを叩き割った。

悪いのは私じゃないんだよ。悪いのは、このレコードを送った男なんだ。

一度でいい、一度でいいから妻に会わせて欲しい。

ジェリー・マリガンの返事を待つ。

風がカーテンを静かに揺らしている。

もう、私は自分の心も殺してしまった。