2015-04-03 小説 あなたと夜と音楽と 17 小説 彼は私のイメージ通りだった。 ブルーの瞳と金髪のクルーカット。そして巨大なバリトン・サックスを抱えていた。 音楽でしか触れた事がなかった1960年代が、カリフォルニアが彼一人から溢れていた。 「 残念だけど、もう戻れないんだ 」とジェリー・マリガンは言う。 「 キミはボクのイメージを抱いたまま生きてる。それが悪いと言ってる訳じゃない。ただ過去に生きる事は出来ないんだよ。今は1960年代じゃないし、キミの奥さんも、もういないんだ 」