素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 あなたと夜と音楽と 36

「 後ろは振り向かない方がいいですよ 」と男は言った。

「 私はいつでも、あなたの心を殺せる。よくこの場所が解りましたね。普通の人間は入り込めないはずですよね 」

僕は急に寒気を感じる。男がすぐ後ろにいるのだ。

後ろを振り向かない訳にはいかないと、僕は思った。

大丈夫、ジャズが僕を守ってくれる。ピアノトリオは世界で一番有名な曲を演奏している。

その為にここまで来たんだと言い聞かせる。

僕は後ろを振り向く。

男の顔は空洞になっていた。どんな喜びも哀しみ吸い込む闇に繋がっていた。