素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 あなたと夜と音楽と 31

しばらく歩いた後、男が手を挙げてタクシーを停めて乗り込む。

慌てて僕もタクシーを停める。

前のタクシーをつけて欲しいんですと運転手に告げる。

車内では『 THESE FOOLISH THINGS 』が流れてる。

チェット・ベイカーのトランペットが車内を優しく包んでる。

音がとても良いですねと運転手に尋ねた。

真空管アンプをつけてるんだよ 」と運転手は言った。

「 あんた、日本人だろ?以前、日本に言った事がある。真空管アンプをつけたジャズタクシーに乗った。あれは素敵な体験だったよ。そんな発想はこの国にはない 」