素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 夜のニワトリ 13

「 ねぇ、さっき言ったのホント?」と博士の娘は小声で話す。

「 えっ? 」

「 あなたしか撃たれないのかしら? 」と博士の娘は言う。

「 分かりません。でも何かいい方法が必ずあります 」と自信はないけど、僕は言う。

いや、違うな、必ずあるはずだ。

階段を上り終わると、目が開けられないほど、真っ白な部屋に着く。

ホントに天国みたいだな。

連れて来ました、とシルクは言う。

僕は眼を疑う。

「 久しぶりばい 」

死んだ筈の博士が、僕らの目の前にいる。

僕を完成させた1969年から1年後、博士は亡くなった。

最後まで、怪しい博多弁を話していた。

病院のベッドで最後を迎えた。

「 未来が私達に近づくのではない。私達が未来に近づくのだ 」

これが、最後の言葉だった。

「 博士は死んだ筈です。あなたは一体、誰ですか? 」

「 確かに死んだばい。ワシは、博士の記憶を備えたロボットばい 」と博士は言う。

ロボット?

僕と違い、ずっとずっと人間に近かった。