小説 夜のニワトリ 13
「 ねぇ、さっき言ったのホント?」と博士の娘は小声で話す。
「 えっ? 」
「 あなたしか撃たれないのかしら? 」と博士の娘は言う。
「 分かりません。でも何かいい方法が必ずあります 」と自信はないけど、僕は言う。
いや、違うな、必ずあるはずだ。
階段を上り終わると、目が開けられないほど、真っ白な部屋に着く。
ホントに天国みたいだな。
連れて来ました、とシルクは言う。
僕は眼を疑う。
「 久しぶりばい 」
死んだ筈の博士が、僕らの目の前にいる。
僕を完成させた1969年から1年後、博士は亡くなった。
最後まで、怪しい博多弁を話していた。
病院のベッドで最後を迎えた。
「 未来が私達に近づくのではない。私達が未来に近づくのだ 」
これが、最後の言葉だった。
「 博士は死んだ筈です。あなたは一体、誰ですか? 」
「 確かに死んだばい。ワシは、博士の記憶を備えたロボットばい 」と博士は言う。
ロボット?
僕と違い、ずっとずっと人間に近かった。