小説 あなたと夜と音楽と 34
僕は、ヴィレッジヴァンガードの真っ赤なドアを開いた。
細長い階段が地下に続いてる。
彼等は誰の演奏を聴きに来たのだろう。席はまばらに埋まっているが彼等の姿が見当たらない。
急に酷い空腹を感じる。
最後に食事をしたのはいつだったろう。
店員にビールと食べ物は注文する。
食べ物は置いてないよ、とそっけなく言う。
今日は、誰のライブだろ?と尋ねる。
よく知らないピアノトリオだよ。俺も聴いた事がないね。ピアノを弾いてなければ、銀行員に見えるけどね。と店員は言った。