小説 夜のニワトリ 10
「 そもそも、そのリトルラジオの意味が分からないんです。僕に埋め込められている事は知っているんですけど 」
「 あなたが知らないのに、私が知る訳ないじゃない?知らない物をどうやって守るって言うのよ 」
この意見にも同感だった。
博士の娘とは気が合う。
「 博士は、それは生きる為に必要なものばい、と言っていました 」
「 余計は分からくなるわ。だって私は全部必要だもの 」
人間に必要なもの。
ロボットに必要なもの。
共存していくには、大きな違いがあるような気がする。
「 彼らの狙いは解りました。ただ彼らは、どんな組織なんだろう? 」
「 アップルよ 」と博士の娘は言う。
「 え? 」僕は間抜けな返事をする。
「 アップルが、あなたのリトルラジオを狙ってるの。そしてこの世界を支配しようとしている 」
馬鹿げている、と僕は言う。
「 嘘じゃないわ 」と博士の娘は言う。
「 アップルがそんな事する訳がない 」
「 アップルだから、可能なのよ 」
僕は首を横に振る。
何かの間違いじゃないだろうか?
「 スティーブ・ジョブズは、もういないのよ 」