素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説『 強面ライセンス 』5

ボクは本部に警告サインを送る。

< 女がレジで従業員を脅している。支払う金を持たず、見たこともないカードを見せて洗脳しようとしている。酒( ジャック・ダニエル )で従業員の頭をかち割ると発言。商品のストッキングで首を絞める可能性あり >

すぐさまに本部から【 レッドゾーンに入る 】と、連絡が入る。7分40秒後には警察が店に到着する。その間、高田に何もなければいいけれど。

。。。ちょっと待てよ。もしこの件で高田に何かあったら、この責任はボクになすりつけられるのではないか?

『 強面の人間 』と『 強面じゃない人間 』の区別ができず、それを見逃していたせいではないかと、本部はボクを責めるかもしれない。そして全国監視カメラ会議でボクを吊るし上げこう言うに違いない。

「 このカメラは欠陥品ですねぇ 」

「 型だって一昔前のだ。だから言ったじゃないですか?新しい型にしなくちゃいけないって。ローソンは全て新型に揃えてますよ 」

「 おいおいライバルは関係ないでしょう?我が社は我が社のスタイルがある。あなた達みたいな、どっち付かずの考えが今回みたいな事件を招いたんですよ 」

「 その言い方はなんだ?お前を今の地位まで引っ張ってやったのは誰のおかげだと思っている?お前がやっている不正を今ここでバラしてもいいんだぞ! 」

「 不正?あなただって、どっかの国会議員みたいにガソリンのプリペイドカードを大量に購入していたじゃないですか? 」

「 それは初耳だな。本当かな?平林くん 」

「 課長、わたしの名前は平林じゃないです。若林です 」

「 すまんすまん。若林くん。その話は本当なのかな?残念ながら我々には秘書はいないのだよ 」

「 それはですね、、、、 」

「 課長すみません、わたしが若林さんに余計なことを発言したばかりに。それより監視カメラの件に戻りましょう 」

「 いや、この件は無視できないな。このことが社内に拡がったらどうなる?社員達の士気は落ち、フランチャイズオーナー達の信用もなくなる。今、この場でハッキリさせておく必要がある、平塚くん 」

「 課長、、、課長の噂も社内では拡がっているんです。あとわたしは、平塚じゃないです、窪塚です 」

「 なんの噂だね?窪塚くん? 」

「 新入社員の女の子と言ったら解りますよね? 」

「 窪塚くん、わたしをゆする気かね?人前でわたしをゆする気かね?上等だ、わたしは君をクビにできる権利がある。言っとくが新入社員の野々村さんとは何もない 」

「 野々村さん?わたしは村上さんと聞いていましたが 」

「 そっちとも何もない! 君はクビだ。今すぐクビだ!ついでに若林もクビだ! 」

こんな言い合いをするに違いない。
そしてボクは粗大ゴミとして出される。マズイ。非常にマズイ。

考えゴトをしていたせいで肝心な高田と女のやりとりを見逃していた。

しまった。。。

高田は丸裸で手をストッキングで縛られ、口もストッキングを突っ込まれている。女はSMの女王さまだと言わんばかりの格好をしている。

ボクと違うカメラが観ていた映像を巻き戻してみる。