小説 aim 125 ー小久保
「 あなたに、ありがとうが言いたくて来たんです。図書館の館長の助手が言ったんです。《 伝えたい気持ちがある時は、生きている間に伝えるべき 》って 」
「 佐々木くん? 」
「 そうです。15歳の子どもに教えられるなんて笑えますよね 」と小久保は言った。
「 今度、俺があなたに会う時は、俺が世界チャンピオンになった時です。また、来ますね 」と小久保は言った。
ドアの反対側で笑った気配がする。
そんな気がしただけかもしれない。
しばらく返事を待って、小久保は踵を返し来た道を歩き出した。