小説 aim 91 ー佐々木
「 う〜ん。言われてみればそうかもな 」と小久保は首を捻る。
「 灘丘さんは元気だろうか 」と小久保は独り言の様に呟く。
「 彼の記憶はこの図書館で引き取っています。灘丘さんは、その後、全くの別人になりました。顔も変わっていたんです 」
記憶を引き取る?顔が変わっている?小久保には、全く理解できない。
「 灘丘さんは忘れたい記憶を、この図書館に預けたんです。そして新しい人生をスタートさせる為に顔を変えた。名前は、灘丘ではなく、櫻井と言う名前に変えていました 」
「 記憶を預けたって事は、今、灘丘さんの記憶は、ここにあるのかよ 」
「 あります。その記憶を貸し出す事もできます 」と佐々木は言う。
「 おいおい、本当になんなんだよ、ここは 」と小久保はぼやいた。