小説 aim 86 ー佐々木
「 君だけが特別じゃないんだ。みんな一人一人が、誰かにとって特別なんだ。だからその力の事で、もう悩んだりしなくていい 」と真下は言った。
あの言葉で、佐々木は全てを受け入れる事が出来た。
誰かが言ってくれるのを、ずっと待っていたかも知れない。
館長が講義で使う資料をまとめていたら、タクシー運転手が館内に入ってくる。
タクシー運転手は、まるで迷子になってしまった子どもの様に、辺りをキョロキョロ見渡す。
無理もない。初めは誰でも戸惑う。
佐々木は、タクシー運転手に近づき声をかける。