素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 aim 78 ー千春

炎が徐々に部屋を焼き尽くし、煙で前が見えなくなり、息が出来なくなる。

まだ死にたくない、と千春は想った。

窓ガラスを椅子で割り、2階のベランダから千春は飛び降りた。

3階建てのアパートはみるみる炎に包まれていった。

丁度、今日みたいに静かに雪が降っていた日だった。

千春はその家事で、右肩を火傷した。

鏡で観る度、父親と母親の事を思い出す。

私がベランダから、飛び降りるまで彼らは「 逃げないでくれ 」と叫んでいた。

この右肩には、彼らの憎しみが染み込んでいる。