小説 aim 56 ー白木
さっきより、走るスピードが速くなる。
一体、誰に追われているのだろうか?
私達を追っているのは、君の良く知っている人間だ。いいかい?何があっても、後ろを振り返ってはいけない。振り返ってしまったら、君はここから出られなくなる、と彼は言う。
後ろから、カサカサ、カサカサと音がする。
その音は徐々に大きくなる。
彼は何か叫んでいるが、その音で上手く聞こえない。
やがて、ただの音が言葉になり、白木の耳元に語りかける。
「 お前達を許さない 」
男でも女でもない声が、繰り返し語りかける。