素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 aim 56 ー白木

さっきより、走るスピードが速くなる。

一体、誰に追われているのだろうか?

私達を追っているのは、君の良く知っている人間だ。いいかい?何があっても、後ろを振り返ってはいけない。振り返ってしまったら、君はここから出られなくなる、と彼は言う。

後ろから、カサカサ、カサカサと音がする。

その音は徐々に大きくなる。

彼は何か叫んでいるが、その音で上手く聞こえない。

やがて、ただの音が言葉になり、白木の耳元に語りかける。

「 お前達を許さない 」

男でも女でもない声が、繰り返し語りかける。