小説 aim 43 ー小久保
忘年会シーズンで、酒で酔った客を乗せる機会が増えた。
呂律が回らず、行き先が聴き取りづらい。
指定された場所に着いたら、ここじゃない!と怒鳴り散らす客や、途中で吐く奴、会社の同僚の男女が酒の勢いで、ホテルに行ったりと飽きない。
そんな状況でも、冷静に対応する。
客が言った言葉を肯定し、時には無言で頷く。
「 運転手さんは、世界は政治が作ってると思いますか? 」と佐川急便の客は言った。
彼は、仕事中に見知らぬ人に、東海病院まで封筒を届けて欲しいと頼まれたらしい。