小説 aim 27 ー常盤
「 困っている人に出会ったら、助けてあげるんだよ 」
常盤のおじいちゃんの口癖だった。
常盤が子どもの頃、両親は共働きでどちらとも忙しく、おじいちゃんと一緒にいる時間が長かった。
読み書きも、計算も宿題も、おじいちゃんが教えてくれた。
お風呂にも、毎日入った。
彼女が出来た時も、真っ先に報告したのおじいちゃん。
振られて慰めてくれたのおじいちゃんだった。
でもさ、と常盤はタクシーに乗りながら想う。
困っている人を助けていたら、僕の方が困ってしまったよ、と。