素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 aim 21 ー白木

白木は、唖然とする。

父親が那須信也ではない?

だとしたら、私と母親が憎んできた男は、誰だったと言うんだろう?

母親の心を殺し、家から追い出した男は、誰だったと言うんだろう?

今までの私の時間は何だったんだろうか。

「 あなたが何故、父親の記憶を消したいか判りません。だけど、あなたの力にはなれると思います 」と手話を使わず真下は言う。

「 あなたの話を聞かせてくれませんか?但し、話せないフリは無しにして 」

初めから真下は、私が話せる事を知っていたのだと、白木は想う。

思わず舌打ちをしそうになるが、私の感情を優先すべき時ではない。

「 私の母親は、那須信也と思っていた父親に、心を殺されたのよ 」と白木は言う。