小説 番人 17
玄関前の手入れされている庭とは違い、裏庭は雑草が生い茂り、井戸が取り残された様に蓋をされていた。
玄関裏から物音がした。
僕は近づき耳をすます。
ミシミシ、ミシミシと畳を歩く音がする。
僕は西嶋の名を呼ぼうか迷ってしまう。
小窓からその存在を確認しようとするが、部屋は薄暗く確かめる事ができない。
やがて歩く音が止まる。
止まった方向に回り込み、窓ガラスを覗く。
誰かが背を向けて立っている。
しかし西嶋ではない。
僕と西嶋の身長は同じぐらいだか、部屋の中にいる人物は180はありそうだった。
両手に何かもっている。
僕は逃げなければと、直感的に思うが誰かに足を掴まれたかの様に動けない。
「 もういらしてたんですね 」
後ろを振り返ると西嶋が立っていた。
「 すみません、いい天気だったので散歩をしていました 」と西嶋は言った。
「 いや、僕もさっき着いたばかりです 」と言うのが精一杯だった。
部屋の中にいるのは、一体誰なんだ?