素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 番人 17

玄関前の手入れされている庭とは違い、裏庭は雑草が生い茂り、井戸が取り残された様に蓋をされていた。

玄関裏から物音がした。

僕は近づき耳をすます。

ミシミシ、ミシミシと畳を歩く音がする。

僕は西嶋の名を呼ぼうか迷ってしまう。

小窓からその存在を確認しようとするが、部屋は薄暗く確かめる事ができない。

やがて歩く音が止まる。

止まった方向に回り込み、窓ガラスを覗く。

誰かが背を向けて立っている。

しかし西嶋ではない。

僕と西嶋の身長は同じぐらいだか、部屋の中にいる人物は180はありそうだった。

両手に何かもっている。

僕は逃げなければと、直感的に思うが誰かに足を掴まれたかの様に動けない。

「 もういらしてたんですね 」

後ろを振り返ると西嶋が立っていた。

「 すみません、いい天気だったので散歩をしていました 」と西嶋は言った。

「 いや、僕もさっき着いたばかりです 」と言うのが精一杯だった。

部屋の中にいるのは、一体誰なんだ?