小説 番人 15
僕は西嶋に「 急で申し訳ないですが自宅に伺っても宜しいでしょうか? 」と電話をした。
西嶋は長い沈黙の後「 構いません。気をつけていらして下さい 」と僕に告げた。
西嶋の家に向かっている間、僕は様々な可能性について考えていた。
雨の降る気配は全くしなかった。
天気予報さえ気にしなければ、今頃は天草で楽しんでいただろう。
いや、違うな。能面を付けた男は天草にも僕を探しにきていただろう。
そして同じ台詞を僕に言っただろう。
バックミラーに映った車さえ、僕を尾けているんじゃないかと考えてしまう。