小説 番人 14
「 私も何度かあなたに警告をしてきましたが、借り物の身体では上手く伝わらなかったみたいです。ただ、これが最後の警告です。あなたは、もう、これ以上彼には会うべきではない 」と男は続けて言った。
「 失礼ですが誰かと勘違いされているんじゃないんですか? 」と僕は言った。
男は首を横に振り、僕の名前を言い、黒いボストンバッグから能面を取り出し、それを顔に付けた。
僕は悲鳴を上げそうになる。
そんな僕をアメンボ達は、池の中から観ている。
今度は彼らが僕を観察する番だった。
「 西嶋です 」と能面を付けた男は言った。
僕は映画『 ゲーム 』の主人公マイケルダグラスになった気分だった。
全てはゲームだったと、ハッピーエンドを望んでいた。
ただ、僕には弟がいなかった。
「 西嶋に会ってはいけない 」
「 どうしてですか?彼は僕の点描画を描いてもらってるだけですよ。そして彼は僕の悩みを相談できる友人なんです 」と僕は言った。
「 さっきも言いましたが、これが最後の警告です 」と男は言い腰を上げ出口へと歩き出した。