素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 番人 14

「 私も何度かあなたに警告をしてきましたが、借り物の身体では上手く伝わらなかったみたいです。ただ、これが最後の警告です。あなたは、もう、これ以上彼には会うべきではない 」と男は続けて言った。

「 失礼ですが誰かと勘違いされているんじゃないんですか? 」と僕は言った。

男は首を横に振り、僕の名前を言い、黒いボストンバッグから能面を取り出し、それを顔に付けた。

僕は悲鳴を上げそうになる。

そんな僕をアメンボ達は、池の中から観ている。

今度は彼らが僕を観察する番だった。

「 西嶋です 」と能面を付けた男は言った。

僕は映画『 ゲーム 』の主人公マイケルダグラスになった気分だった。

全てはゲームだったと、ハッピーエンドを望んでいた。

ただ、僕には弟がいなかった。

「 西嶋に会ってはいけない 」

「 どうしてですか?彼は僕の点描画を描いてもらってるだけですよ。そして彼は僕の悩みを相談できる友人なんです 」と僕は言った。

「 さっきも言いましたが、これが最後の警告です 」と男は言い腰を上げ出口へと歩き出した。