小説 番人 8
それについて西嶋に相談をしたことがある。
「 あなたが出来ることは、相手の幸せを願うことだけです 」と西嶋は言った。
「 人は過去には戻ることはできません。生きることはできません。どれだけ未来に想いを馳せても未来に生きることもできません。人は今しか生きられない。今をどうやって生きているかで過去は変わります。だから、あなたは過去に囚われず、今を生きるべきです。精一杯に 」と西嶋は言った。
西嶋の家に通う様になってから1年と7ケ月が経っていた。
僕は些細な悩みや、不安を感じることが少なくなっていた。
それは僕自身が鈍感になったからでも、年を重ねて諦めがついたわけでもない。
全てのことは必然で、起こる全てのことを素直に受け止める様になっていた。