素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 番人 7

時々、別れた妻の事を想った。

今の僕を観ても前と同じことを言うだろか?

「 何故、あなたみたいな退屈な男と結婚したのかしら? 」と。

僕は彼女を愛していた。

彼女とは映画も音楽も好きな食べ物も合わなかった。

それでも、彼女の側で観る映画や聴く音楽はどれも輝かしいものに想えた。

彼女との食事の時間は楽しかった。

僕はもっと彼女に寄り添い合うべきだった。

その考えを彼女に伝えるべきだった。

僕らは離れるべきではないと、伝えるべきだった。

そこで僕は首を横に振りうな垂れる。

僕は彼女と別れた時、きちんと傷ついたのだろうか?

傷ついていない、と僕は想った。

血は僕の為だけに流れていた。

傷口も痛みもどれだけ見渡しても見当たらなかった。

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