素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 ルーザー 11 ー桃太郎とイヌとサルとキジ

まるで映画の『 仮面の男 』みたいだな、と田野は苦笑いをする。

ディカプリオみたいに男前じゃないし、味方は、たったの1人もいないが。

実が歩道橋から落ちて死亡した、と連絡がきた時、田野は何かの悪ふざけかと思った。

友人と協力して面白がっているのだと。

しかし、それは現実だった。

病院から死亡診断書を受け取る。

この紙切れ一枚で、実はこの世から別れを告げる。

田野は前日の朝、実が何か相談したい事があった雰囲気で学校にでかけた。

休みの日に話すね、と実は言っていた。

田野は夜勤明けで疲れていたので、特に気に留めなかった。

実の話を聞いてあげるべきだった、と田野は自分自身を責めた。

田野は会社をしばらく休む事にした。

何故、歩道橋の上から落ちたのだろう?本当に実は自殺をしたのか?

実の友人が、田野を訪ねてきた。

彼は、市川育男ですと言った。

小学校からの付き合いで、実とは仲が良かったらしい。

僕は信じてないんですけど、と市川育男は言った。

「 最近、近所で猫が残酷に殺されてるんです。その犯人が実だったと噂を聞きました 」

と市川育男は言った。

田野は思わず笑ってしまう。

実は小さな虫さえ怖がって触れない。そんな実が猫を殺すなんて馬鹿げている。

その噂は誰から聞いたの?と田野は言った。

学校の先生です、と市川育男は言った。

「 自分自身に相談があったと、生徒の前で言っていました。皆、それで実は自殺をしたと思ってるんです。でも、僕は信じられません 」と泣きながら言った。

田野は、その先生と会う事にした。

20時でしたら大丈夫です、と相手は言った。

はっきりさせる必要があった。

相手が嘘をついてると思ったら、田野は殺すつもりでいる。田野の右手には金属バットが握られいた。