小説 あなたと夜と音楽と 33
「 なんだか運転手さんが、ジャズミュージシャンみたいな話し方ですね 」と僕は運転手に尋ねた。
今は休んでるんだと運転手は言う。
「 今はやりにくい時期なんだ。そういう時は流れるが収まるまで休んだ方が良い。あんたが会ったソニー・ロリンズもしばらく休んでた時がある 」
「 それは、ジャズが認められていないと言う意味ですか? 」
運転手はそれには答えず、着いたよと言った。
目の前にはヴィレッジバンガードがあった。
「 あんたとは、またいつか会いそう気がするよ 」運転手は後ろを振り向かずそう言った。