素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 あなたと夜と音楽と 13

「 私が妻とこの店に? 」

「 そうだよ。アンタの奥さんの仕事場がこの店の近くにある。仕事帰りに二人で来ていた。アンタは、カレーとホットコーヒーを、奥さんはタコライスとビールを注文していた 」

頭が痛くなり耳鳴りがしてきた。私は何も思い出させずにいた。

「 いいかい。思い出すんだ。アンタの奥さんがジャズを教えてくれたんだよ、アンタに。それだけは思い出さなきゃいけない 」

「 ASK ME NOW 」が終わろうとしていた。

煙草の吸い殻が店内を埋め尽くしていた。

「 もうそろそろ行くよ 」と彼は言った。