小説 あなたと夜と音楽と 9
妻が出ていってから一週間が過ぎた。
私の生活に変化はない。なんの不満も不備もなく穏やかな一週間だった。
私はそもそも結婚をしていたのか。
試しに友人に電話で聞いてみた。12年も一緒に過ごしてたらしい。
休日になる度に中古レコード屋に出かける。
中古レコードの匂いが好きだ。
CDにはない独特の匂いがある。時間を超えて、この棚に並んでる。まるで何もなかった様に並んでる。
小さな店だがセンスの良い音楽が流れてる。今日はパルプ・フィクションのサントラが流れてる。