小説 あなたと夜と音楽と 6
私は二杯目のコーヒーを飲みながら、キース・ジャレットのレコード『 Dark Intervals 』をターテーブルにセットして、ソファーに横になる。
3曲目「 Americana 」が特に気に入っている。
目を閉じて聴いてると、果てしなく広がる雪原の大地が浮かぶ。
そこには、ピアノが一台。
キース・ジャレットが「 Americana 」を静かに弾いてる。
私は、彼の真正面に足を運び、聴き入る。
最高の特等席で。
レコードと同じ7分10秒で、演奏が終わる。
私は拍手をして、「 凄い! 」「 素晴らしい! 」
そんな言葉をかける。
彼は少しムッとして「 僕に拍手はいらないよ、僕は自分自身にきっちり拍手を贈れる。 」
やれやれ、と想う。
彼とは2000回生まれ変わっても、気が合いそうにない。