小説 あなたと夜と音楽と 1
暗い部屋で考える。
なぜ僕らは繋がらなければならないのか。
出会った事もない人達と、これから出会う筈もない人達と。
世界は変わろうとしてるのかも知れない。
いや、もう変わってしまったのだろう。
冷蔵庫の唸り声が誰かの返事の様に聞こえた。
ある人は芸能人にツイートの誤字を指摘していた。ある人は政治の在り方を、ある人は猫の写真をツイートしていた。
誰かに観て欲しい、聴いて欲しい、ツイッターを通じて顔のない人々は伝え続けていた。
どうやら彼は「 人と人の繋がりの在り方 」で酷く悩んでるみたいだ。やれやれ。もっとシンプルに考えるべきだと、教えてあげたくなる。
テレビのニュース速報で、あるいは電車の電子掲示板で教えてあげたくなる。そもそも人は、誰かと確かに繋がってるんだよと。
そんな性格が災いして( 彼はA型だ )ある事件に巻き込まれる事になる。
でも、それは仕方がない事だ。答えは自分で見つけるしかない。それが良い結果でないとしてもだ。
誰かが、彼の人生を代わりに生きて行く事なんて出来ないのだから。