素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 火星ラバー 3

僕は最終手段を出す事にした。

このままじゃ、本当に地球人になってしまう。

地球人になるのは、7000回生まれ変わってもごめんだ。

「 君は< 世界のはじっこ >がどんな場所か分かる? 」

「 何もない所かしら? 」

「 そうなんだ、そこには何もない。山も海も川もビルもない。風さえ吹かない 」

「 映画館は? 」

「 映画館もサーティワンのアイスクリームもない。生理用品もコンドームもない 」

「 ひどい場所ね 」

「 そうなんだ。生きていくのには、ひどい場所なんだ。でも隣には僕の大切な人がいて、そっと手を握っていてくれる。だからそんな場所にいても、悪くないって思えるんだ 」

「 その隣にいるのが私なのね? 」

「 そうだよ、君以外は考えられない 」

彼女は腕組みしながら、何度も頷いた。

「 分かったわ、あなたを許すわ 」

僕は最終手段で何とか乗り切り、無事に証言台から降りる言葉が出来た。

「 それで、どうやって火星人になれるのかしら? 」

「 ちょっと待ってよ、何で君が火星人になる必要があるんだろう? 」

「 だってあなたは、地球人になりたくないんでしょう? 」

「 うん、12000回生まれ変わっても、ごめんだよ 」

「 だったら私が、火星人になるわ 」

「 新しい洗濯機がいるよ。でも本当にいいの? 」

「 あなたと私が思ってる事が、完全に一緒じゃなくてもいいのよ。そんな考え方も悪くないかなって想える方が大事なの。愛するって、そう言う事でしょ? 」

そんな訳で、僕等はヤマダ電機で最新型の洗濯機を買い、その中に2人で入った。

脱水が終わり、乾いた後、彼女はピカピカの火星人になった。

似合うかしら?と始めは照れていた。

今、僕は4人の女と結婚して、24人の子供たちと暮らしている。