素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 火星ラバー 2

今度は、こっちが泣く番だった。

僕は火星では3人の女と結婚して、24人の子供がいる。

「 洗濯機を壊したのは、わざとだね? 」

「 あなたは火星に帰れなくなるから 」

「 それで、僕は地球人にする気だね? 」

僕は、頭が痛みだしてきた。

このままじゃ、本当に地球人になってしまう。

「 ねぇ、火星にも離婚届ってあるのかしら? 」

「 無いよ 」

「 じゃあ、どうやって別れるのよ! 」

「 別れを言い出した方が、頭を引きちぎられる 」

「 なんだか痛そうね 」

僕は、物凄く怒りたかった。

200年ぶりに怒ったせいで、怒り方を忘れてしまっていた。

「 ケラケラ、ケラケラ、」

と僕は笑ってしまう。

「 ケラケラ、ケラケラ 」

とつられて彼女も笑う。

「 もう笑うのは止めなさい!ケラケラ星人! 」

「 私は大海原の様に広い心を持った女よ。あなたが私に素敵な言葉を言ってくれたら、今までの事は無かった事にして、許すわ 」

「 わかった、わかったよ。えーっと、僕は君みたいな綺麗な女性に出逢った事がない。火星にだっていないよ 」

「 何それ?あなた正気? 」

「 えっ? 」

「 綺麗な女性に、綺麗だねって言う男程、間抜けな男はいないわ 」

僕は証言台に立たされている気分になる。

一体何だって言うんだ!

「 綺麗な女性は、自分が綺麗だって事を生まれた瞬間から知ってるのよ。今さら褒めたって意味ないじゃない 」