小説 火星ラバー 2
今度は、こっちが泣く番だった。
僕は火星では3人の女と結婚して、24人の子供がいる。
「 洗濯機を壊したのは、わざとだね? 」
「 あなたは火星に帰れなくなるから 」
「 それで、僕は地球人にする気だね? 」
僕は、頭が痛みだしてきた。
このままじゃ、本当に地球人になってしまう。
「 ねぇ、火星にも離婚届ってあるのかしら? 」
「 無いよ 」
「 じゃあ、どうやって別れるのよ! 」
「 別れを言い出した方が、頭を引きちぎられる 」
「 なんだか痛そうね 」
僕は、物凄く怒りたかった。
200年ぶりに怒ったせいで、怒り方を忘れてしまっていた。
「 ケラケラ、ケラケラ、」
と僕は笑ってしまう。
「 ケラケラ、ケラケラ 」
とつられて彼女も笑う。
「 もう笑うのは止めなさい!ケラケラ星人! 」
「 私は大海原の様に広い心を持った女よ。あなたが私に素敵な言葉を言ってくれたら、今までの事は無かった事にして、許すわ 」
「 わかった、わかったよ。えーっと、僕は君みたいな綺麗な女性に出逢った事がない。火星にだっていないよ 」
「 何それ?あなた正気? 」
「 えっ? 」
「 綺麗な女性に、綺麗だねって言う男程、間抜けな男はいないわ 」
僕は証言台に立たされている気分になる。
一体何だって言うんだ!
「 綺麗な女性は、自分が綺麗だって事を生まれた瞬間から知ってるのよ。今さら褒めたって意味ないじゃない 」