素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 夜のニワトリ 17

「 ロボットのお前には、心がない。それでも、お前と関わる人間に、愛が生まれる。それは、ロボットと人間がこれから共存していく為に必要なものなんだ 」と博士ロボは言う。

隣を見たら、シルクorムッシュは泣いている。

「 51年前から、この計画を立てていたのね。手間がかかること 」と博士の娘は言う。

「 真実は、いつも手間がかかるばい 」と博士は言う。

いつもの奇妙な博多弁に戻っていた。

僕らは、ロボットと人間とが共存していく道を選んだ。

博士が、僕らの目の前にカードを差し出し、選んだ道だった。

それが正しいか間違いかは、今のところ誰にも分からない。

帰り道、博士の娘と並んで歩いた。

怖いくらい美しい夕焼けが、僕らの目の前に広がる。

長く伸びた影が、新しい季節と新しい時代に手を伸ばしてる様に見える。

「 最新型の洗濯機を買おうよ 」

「 それで、火星人になれるのね、私も 」

すれ違ったカップルが面白い会話をしていた。

「 みんな、少しずつ変よね。私達の関係も似た様なものだけど 」と博士の娘は言う。

「 そうだね 」と立場も全部忘れて僕は言った。