小説 夜のニワトリ 17
「 ロボットのお前には、心がない。それでも、お前と関わる人間に、愛が生まれる。それは、ロボットと人間がこれから共存していく為に必要なものなんだ 」と博士ロボは言う。
隣を見たら、シルクorムッシュは泣いている。
「 51年前から、この計画を立てていたのね。手間がかかること 」と博士の娘は言う。
「 真実は、いつも手間がかかるばい 」と博士は言う。
いつもの奇妙な博多弁に戻っていた。
僕らは、ロボットと人間とが共存していく道を選んだ。
博士が、僕らの目の前にカードを差し出し、選んだ道だった。
それが正しいか間違いかは、今のところ誰にも分からない。
帰り道、博士の娘と並んで歩いた。
怖いくらい美しい夕焼けが、僕らの目の前に広がる。
長く伸びた影が、新しい季節と新しい時代に手を伸ばしてる様に見える。
「 最新型の洗濯機を買おうよ 」
「 それで、火星人になれるのね、私も 」
すれ違ったカップルが面白い会話をしていた。
「 みんな、少しずつ変よね。私達の関係も似た様なものだけど 」と博士の娘は言う。
「 そうだね 」と立場も全部忘れて僕は言った。