素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 夜のニワトリ 12

「 お嬢ちゃん、名前は? 」とシルクは言う。

「 言う必要はないわ 」と博士の娘は言う。

「 物語には名前が必要だ 」とシルクは言う。

やれやれ、僕の真似じゃないか。

「 名前が無ければ、お嬢ちゃんは大した役じゃないかも知れない 」

「 この光線銃で、この世から、おさらばかも知れない。それでも言わない? 」とシルクは言う。

ムムムムっと博士の娘は言う。

ムムムムムムムムっ。

「 私はフェミニンよ! 」と博士の娘は声高々に言う。

誰一人笑わなかった。

失敗したわ、博士の娘はモジモジしながら凹んでいる。

このままじゃ、目の前の光線銃野郎と同じだわ。

ダメよ、そんなの全然ダメよ。

「 フェ、フェ、フェミニンビューティーよ!私はフェミニンビューティーよ!! 」

やっぱり、誰も笑わなかった。

「 彼女は関係ない。撃つなら僕を撃てよ 」

本当は撃たれたくないけど、僕は言う。

シルクは腕組みしながら、考えてる。

どちらを先に撃つか考えているのだろうか?

「 ついてこい。面白いものを見せてやろう 」とシルクは言う。

螺旋階段が天国の階段の様だ。