素敵な図書館

毎週土曜、夜11時に僕、佐藤が自作小説をアップしていくブログです。コーヒー、あるいはお酒を飲みながら訪問していただけたら嬉しいです

小説 夜のニワトリ 4

僕は言葉が話せない。

二足歩行ではなくキャタピラ。

両手は上下しか動かせない。

身長は135㎝。

顔の表情だって、ワンパターン。

驚きも、笑いも、悲しみも表現できない。

おまけに、夜しか動けない。

2020年に存在するロボットとは、あまりにもかけ離れている。

「 これが博士の言う、今後、人間と共存していくモノなのね 」と博士の娘は言った。

「 モノじゃない、夜のニワトリばい 」と博士は怒り気味に答えだ。

但し、と博士は続ける。

共存していくかは、人間次第ばい。場合によっては、とてつもない脅威になるばい 」

「 脅威になるのに、何故造ったのよ! 」と今度は、博士の娘が怒り気味に言った。

博士は、一枚のコインをポケットから取り出す。

「 物事には、コインと一緒で表と裏があるばい 」と博士は言った。

コインを指で弾いて、手の平に隠す。

「 表を『 正義 』裏を『 悪 』あるいは表を『 光 』裏を『 闇 』と呼ぶばい。人によっては、その逆もありえるばい 」と博士は言った。

「 要するに、良い面も悪い面もある。人間の受け止め方次第って事ね 」と博士の娘は言った。