小説 夜のニワトリ 3
< 1969年 >
1969年、ビートルズがアップルの屋上で、最後のライブをしていた。
丁度その頃、博士は38001回目の失敗作を造っていた。
「 まだ、諦めないのね 」と博士の娘は言った。
「 これは、単なる過程ばい 」と博士は言った。
博士の娘は、失敗作を眺めながら腕組みをする。
彼女の頭はアフロで白髪だった。
まるでカリフラワーの様で、彼女自身はそれを大変気に入っていた。
彼女の胸はボーリングの玉を備えたかの様な大きさだった。
右胸が10ポンド。
左胸が8ポンド。
いや、逆だ。
右胸が8ポンド。
左胸が10ポンドだ。
大抵の男が彼女を見て興奮した。
「 もう少しばい。あと少しで完成するばい 」と博士は言った。
38133回目で、博士はようやく僕を完成させた。
博士は、僕の名前を『 夜のニワトリ 』と付けた。
「 なんで、夜のニワトリなの? 」と博士の娘は聞いた。
「 こいつは一日中、動けないばい。朝、昼の太陽のエネルギーを充電して動くばい 」
「 つまり夜しか動けないのね? 」
「 ニワトリの鳴き声で朝が来た事を知るばい。こいつが動きだしたら、夜が来た事になるばい。だから、夜のニワトリばい 」と博士は僕を撫でながら言った。
とは言え、貴方が知っているロボットとは、遠くかけ離れている。